AIに曲を作らせている、と言えばそれまでだけど。

更新日:9月24日

僕は AIを使って音楽を作っています。
そう言うと、「じゃあ、AIに曲を作ってもらっているだけ?」と思われるかもしれません。
実際、最初の頃は僕自身もよく分かっていませんでした。プロンプトを書いて、曲が生成される。気に入らなければ、また作る。これを繰り返していると、確かに曲はできていきます。
でも、何十曲、何百曲と作っていると、少しずつ違うことに気づきます。
僕がやっているのは「作る」というより、「選ぶ」作業の方が多い。
最初に決めるのはテーマ
僕が最初に決めるのは、メロディでも音の質感でもなく、テーマです。どんな情景を描くのか、どんな感情を扱うのか。ここが定まっていないと、どんなに良い音が生成されても、曲としてまとまりません。テーマが決まって初めて、音の方向性や歌詞の言葉選びが動き出す。ここを飛ばすと、後の工程が全部ブレていくので、実は一番時間をかける部分です。
歌詞をどう書くか
歌詞は、僕が決めたフックになる言葉を中心に肉付けしていきます。AIは一部使いますが、あくまで軸になる言葉は僕自身で決める。複雑な感情というのは、AIにはまだ分からない領域だと思っています。だからこそ、その言葉を自分で選ぶことが、僕にとって人間らしさを出すための最後の砦になっている気がします。
生成された曲のどこを残すか
AIで一曲を生成すると、Aメロは悪くないのにサビで急に別の曲みたいになる、ということがよくあります。そういうとき、僕は丸ごとボツにするのではなく、「このAメロだけは残したい」という判断をします。これが一番「作る」に近い瞬間かもしれません。
「AIっぽい」と感じる部分をどう扱うか
不思議なもので、AIが生成した曲の中にも、明確に「AIっぽいな」と僕が感じる瞬間があります。展開が予定調和すぎたり、感情の乗り方が薄かったり。ここをどう削るか、あるいはあえて残すか。実はこの判断基準こそが、僕の好みそのものだったりします。
何度も生成しても結局ボツになる曲
正直、これが一番多いです。何十回生成しても、どうしても「これじゃない」としか僕が思えない曲があります。理由を言葉にするのは難しいんですが、聴いた瞬間に分かる。こういう曲は、潔く手放します。
逆に、偶然出てきた一部分を残したくなる瞬間
一方で、狙っていなかった箇所が妙に刺さることもあります。イントロの一瞬の音の重なりとか、ブレイクの空白の長さとか。狙って作ったものより、偶然生まれたものの方が僕の印象に残ることも多いです。
生成 → 選択 → 編集 → マスタリング
実際の工程を並べると、こうなります。
テーマを決める
歌詞の軸になる言葉を決める
AIで生成する
良い部分を選ぶ
編集で構成を整える
マスタリングで仕上げる
こう書くと単純に見えますが、それぞれの工程で「これでいいのか」を僕は何度も自分に問い直しています。
選ぶことに、個性が宿る
生成という作業自体はAIに任せている分、実は「選ぶ」というところに、僕の個性が一番出ている気がしています。何を良いとするか、何を残すか。これはある意味、プロデューサーの仕事に近いのかもしれません。曲を一から演奏して作るわけではないけれど、方向性を決め、素材を選び、形にしていく。
一から人力で音楽を作っている人たちには、正直、僕はずっと尊敬しかありません。楽器を練習し、アレンジを組み立て、レコーディングして、気の遠くなるような時間をかけて一曲を仕上げる。その労力の重みは、AIを使っている僕にもよく分かります。
AIを使うことで、その労力は確かに格段に少なくなりました。でも、それがそのままクオリティの低下につながるとは僕は思っていません。労力が減った分、選ぶことにより多くの時間と神経を使えるようになった、というのが実感に近いです。
AIに曲を作らせているだけなら、たぶんこんなに何度も僕は悩まない。
生成されたものの中から何を残すのか。何を捨てるのか。その繰り返しをしていると、結局最後に残るのは、
「AIが何を作ったか」より、「自分は何を良いと思ったのか」
だったりします。
それが今のところ、e-Muを作っていて一番面白いところです。




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